「とってもゆかいな秋吉台ミーティング]\」
(2011年2月19日 於秋吉台)
平成23年2月19日に「とってもゆかいな秋吉台ミーティング]\」が実施されました。このイベントは、毎年、秋吉台を保全することの意味を広く市民に理解してもらおうと、山焼きが予定されている2月の第3日曜日の前日に行われています。ミーティングスタッフといっしょに草原を散策し、秋吉台の魅力を学びながら、山焼きにより草原を守っていく意味を理解します。草原の散策は、毎年4月の第3土曜日・日曜日に開講する山口大学公開講座「歩いて、学んで、理解する。カタログにない秋吉台」と同じコースを辿り、このイベントで早春の山焼き前の枯れ野の草原を楽しむと同時に、公開講座で新緑の草原を楽しんでいただくように企画しております。
ここ数年のイベントでは、これら散策コースを、初めての人が独りで歩いてもその魅力が理解してもらえるように、セルフガイドマップに作るワークショップを行ってきました。また、平成17年に秋吉台の地下水系がラムサール条約に登録されたことを契機に、秋吉台上の湧水をマップの中で紹介し、秋吉台上に降り注ぐ雨と、洞窟の中を流れる水、その水が麓の集落で利用されて豊かな実りをもたらすことをイメージできるようなマップも作ってきました。
今年は、新たにマップを作る作業は一時お休みとし、これまでに作ってきたマップのベストポイントを歩いた後、秋吉台エコミュージアム館長の配川武彦先生に講義いただき、これまでの活動を総括するような内容とすることにしました。
この日は、前の週に降った雪がまだ融けずに残っており、雪の草原を楽しむ機会に恵まれました。午前中の散策では、かつて秋吉台が鉱業で栄えていた時に利用されていた「女郎水」と呼ばれる湧水や、今でも水をたたえており不思議なことにカエルが生息する「冠山の湧水」と呼ばれる湧水をこれまでに学んだポイントとして見てまわりました。この他に、かつて日本の陸軍が演習のために掘った塹壕の跡や、秋吉台の代表的な風景であるドリーネやウバーレの景観、これらが連なる馬ころびと呼ばれる景観を目にしながら、かつての秋吉台の草原の姿を復元しようとするプロジェクトの実験地なども見てまわりました。
午後は、配川先生による講義をいただきました。講義では、水質調査の方法を実際に使われている道具を用いて披露していただき、長年の調査の結果、秋吉台の地下水系がどのように広がっているのかを地図を用いて紹介してくださいました。水系は、平面的な分布もさることながら、秋吉台の地下を立体的に上下に流れてもおり、渇水の時に数か月もの間溜まっている場所がある一方で、大雨の時にはそんな溜り水が一気に流れ出すこともあるそうです。地上での人の暮らしは、これら地下水系を思った以上に汚すことがあり、汚れた水が出てくるのを見ることで初めてその実態がわかるようです。配川先生は、ふだんは静かに客観的にお話しをされる方ですが、この時ばかりは、熱い思いで、この地下水系を美しいままに守っていきたいとお話しされていました。
平成23年4月16・17日開催の公開講座「歩いて、学んで、理解する。カタログにない秋吉台」では、新緑の美しくなる季節にもう一度このコースを歩きます。この秋吉台で長年教師として勤めてこられた前田先生の入門講義に始まり、配川先生の地下水系の講義、さらに今年は、草原の保全に情熱を燃やす若き生態学者の荒木陽子先生による草原復元実験に関する講義もあります。とってもゆかいな秋吉台ミーティングのメンバーも、ともに草原散策を楽しみ、夜には宴をもって皆様を歓迎してくれます。
早春のイベント、新緑の公開講座で、皆様と、また、ご一緒できるのを楽しみにしております。